【レビュー】『シカトリス』1ターン1行動コマンド式RPG

Nintendo Switch

[シカトリス]レビュー トラウマを乗り越え異常異能事件に迫る!!

作品名:『シカトリス
発売日:2023年6月29日
プラットフォーム:PS4/5  Nintendo Switch

この作品は、心にトラウマを抱え「異能使い」となってしまった生徒たちと生活を共にしながら、教師として彼らを率いて街で発生する「異常異能事件」に対処していく物語です。プレイヤーが先生として生徒たちのトラウマを乗り越えさせ、事件を解決するストーリーになっています。

「シカトリス」のゲーム紹介!

このゲームを簡単に紹介すると

生徒たちのトラウマを乗り越え、物語の本質へ
授業を通じて生徒の育成
1ターン1行動選択式のコマンドRPG

[体験版]「シカトリス」

「シカトリス」はPS4/5、Nintendo Switchで6月15日より体験版が配信されています。

この作品は、周回要素があり、一周目は確定でバットエンドに入るようになっています。体験版では確定バットエンドまで遊ぶことができ、物語がどうなっていくか気になるところまで遊べます。

生徒たちのトラウマを乗り越え、物語の本質へ

RAUT三〇二部隊に集まった7人の生徒は、いじめや挫折、家族の死などそれぞれに異能を発現するきっかけとなる心の闇を抱える思春期の高校生です。神谷(主人公)はそんな彼らと教師として接することで、生徒の抱える悩みやトラウマの克服を手助けしていくことになります。

戦闘で条件を満たせなければ、生徒は心の闇に耐えきれず、異常異能と化してしまうバッドエンドになります。そうなったときは、神谷が持つ異能の力を使い、RAUT三〇二部隊に赴任する直前へとタイムスリップしやり直すことになります。

バットエンドになり、RAUT三〇二部隊に赴任する直前に戻ると生徒たちのレベル・基礎力・スキルも初期の状態に戻ってしまいます。そのため、分岐前にセーブしてすべてのイベントを見たほうが良いと思います。

 

このゲームは【ノベルゲーム】のように基本的にキャラのグラフィックとメッセージだけでストーリーが進みます。キャラの心情以外はフルボイスになっています。

キャラのグラフィックは、学生服、体操着、戦闘服、私服(夏冬)と種類があります。ストーリー進めれば生徒たちがトラウマに向き合い、克服するさまは愛おしくなります。

 

授業を通じて生徒の育成

ゲームの進行は、毎週の授業をこなして生徒たちの基礎力(ステータス)を成長させることが基本となります。授業で受けられる科目はランダムなため、その中から伸ばしたい能力によって生徒を振り分けます。基礎力は、「体力・集中・判断・忍耐・知識・理論・感受・器用」と分けられており、体力はHP、判断力は物理攻撃力などRPGの馴染みのステータスに分けられます。基礎力によりレベルアップした際のステータスの上昇に変化があります。

また、生徒にはそれぞれ「専攻」する授業科目が存在し、選んだ専攻によって取得できるスキルが異なります。それに加え、授業による基礎力の成長にも倍率がかかってくるため、近い指向の専攻を複数選ぶことで、特定の基礎力を通常より大きく伸ばせます。

このゲームはスキルの組み合わせが重要になるため、育成方針と専攻をキャラクターごとに考えるのが面白いと思いました。

1ターン1行動選択式のコマンドRPG

本作の戦闘はターン制となっています。4人編成のパーティで敵と対峙し、生徒それぞれが提案してきた行動から1つ選択して攻撃や回復などを行います。戦闘では1ターンにつき、1人しか行動できない。そのため、他作品のRPGのように4人編成パーティでキャラクターごとに行動を選択できるわけではないため、この戦闘方式の面白みを見出せなければ終始退屈に感じてしまうかもしれません。

 

戦闘を効率よく進めるには2つのポイントがあります。

①1ターンで1回しか選択して攻撃できませんが、破攻追識、虚攻追識などの追撃スキル、反転識:破、反転識:虚など反撃スキルを駆使して攻撃回数を増やすことです。また、確率で自動で発生させることができるスキルも良いです。

 

②敵の行動回数を減らすことです。敵味方どちらともにスタンゲージが設定されており、ゲージを最大にすると敵を1ターン行動できなくできます。そのため、急襲の衝撃、重力虚識などスタン値を増加させるスキルは優秀です。また、混乱や麻痺の状態異常も敵の行動を妨害できるため、状態異常スキルも強いです。

 

追撃等で攻撃回数を増やせば1ターンのダメージを増やせます。それに加え、スタンゲージを増加させることもできるため、①、②は戦闘において重要になります。300以上のスキルから①、②を満たせるようにスキルを工夫する面白みがあります。

キャラごとに破識アタッカー、虚識アッタカー、タンク、ヒーラーなど役割を持たせて育成し、スキル構成を考案するのが面白かったです。

(1)朝日(破識タンク+ヒーラー)
永宮(虚識タンク)
音羽(虚識属性アタッカーor虚識特殊アタッカー)
浪崎(虚識属性アタッカーor虚識特殊アタッカー)

(2)朝日(破識虚識タンクorヒーラー)
上城(破識アタッカー)
涼平(破識特殊アタッカー)
篠森(破識特殊アタッカー)

(1)、(2)パターンで戦闘することが多く、プレイヤーの好みで組み合わせを決める面白みがあります。キャラごとに特徴があり、RPGではキャラが多いと最後まで使用しないキャラが出てしまうことが他作品ではありますが、この作品では終盤までキャラごとに役割を決めて活かすことができるため、良いバランスのゲームだと思いました。

 

主人公にはオーダースキルが使用でき、毎ターン生徒の攻撃力強化など間接的に戦闘をサポートできます。生徒ごとに特殊なオーダースキルが使え、朝日を編成していれば、「全員防御」で全員の受けるダメージを無効化できるなどオーダースキルは戦闘において重要な役割があります。ターン制RPGならではの戦略性のあるバトルが楽しめます。

ゲームの特徴

この作品は、周回前提のゲームになります。戦闘で評価Sを取るorバットエンドを見ると周回ボーナスが付与されます。それにより、次の周回開始時に「Lv+2」「全基礎力+3」「戦闘経験値+10%」といった追加効果を付けて、ゲームを有利に進められます。評価Sを取るには周回ボーナスポイントを集め、効率よく育成しなければ難しいため、何周も遊べばより強いキャラを育成できます。

また、RPGですが、信頼度やお金は無限に稼げるわけではないため、無駄に消費しない方がいいです。信頼度やお金は戦闘イベントで評価によって多くもらえるため、高評価を狙ったほうが良いです。

 

それに加え、レベル上げは土曜日限定で体調を消費して戦闘訓練を行うことができます。しかし、休日は生徒の体調を回復させなければ授業での基礎力の育成に影響が出るため、何度も戦闘訓練に時間を使えないのが難しいところです。

 

お金が有限の為、無駄にアイテムを購入し消耗すると後半で金欠になるかもしれません。また、レベル上げもいつでもできるわけではないのでイベント戦闘で負けても、レベル上げをできないため、休日の過ごし方が重要になります。

 

総評

プレイ時間は約30時間で最初から最後まで遊べます。分岐でロードをしてバットエンドを確認しても約35時間くらいで遊べるためそこそこのボリュームがあります。

ノベルゲームのように基本的にキャラのグラフィックとメッセージで進行するゲームをあまり遊んだことがありませんが、ストーリーに重点が置かれており、続きが気になるストーリーでした。ムービーはなく、派手なカットシーンが少ないため、物足りない部分はありますが、バットエンドや重要なシーンでは良いものが見れました。

戦闘システムが独特でスキルを組み合わせて効率よく敵を倒していくゲームであり、必殺技で爽快に敵を倒すわけではないため好みが分かれると思います。また、RPGの難易度としてはかなり難しい部類になるかと思います。好きなタイミングでレベル上げができるわけではなく、レベル上げの機会もそれほど多くないため、難易度によっては摘んでしまう恐れもあります。後半はダメージが多く、敵は攻撃されれば反撃してくる敵もいるためタンク役の役目が重要になります。

レビューではネガティブな感想が多いかもしれませんが、自分の好みな商品でなければ低評価するように、プレイスタイルや好みに合っていない人が遊んでしまいネガティブなレビューになっている気がします。

そのため、体験版のセーブデータを製品版に引き継げるため、一度遊んで見て面白い、続きが気になると思い、納得して購入した方がいいです。

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